悪魔のミカタ 魔法カメラ

悪魔のミカタ―魔法カメラ (電撃文庫)

悪魔のミカタ―魔法カメラ (電撃文庫)

「恋人が人殺しになるのを、日奈が望むと思うのか?喜ぶと思うのか?」
「バカかお前は」コウは嗤った
「何やったって死人は喜ばねーよ」


第8回電撃ゲーム小説大賞<銀賞>受賞作。
こいつはかなりの問題作で、この回の銀賞は有沢まみずの「インフィニティ・ゼロ」と二人いたんだけど、明らかにこっちは異色。
まず一つの事件追うミステリーかと思いきや、半分も読まないうちにもう犯人を突き止める。
そして1巻でヒロインが死ぬ(現在13巻まで出てる)
殺された被害者、教師がヒロインに似た生徒を脅迫して肉体関係を結んでいた、保険教師も脅迫して同上、そしてそれ関連の表現が生々しい。
主人公はヒロインが死んでも他のシリアスな場面でも前でも笑ってみせるため主人公のノリは終始軽い。
しかし時々上の引用みたいに、残酷な現実をバカにしたような本音を吐き捨てる。
キレると目の前の警官の眼に指を突っ込んでかき回すくらい容赦がない。
この痛みを抱えた男の異常さ。


ライトノベルとしてはギリギリ。
潔癖症や純粋さを抱えた人には厳しい。
しかし、これほどキャラの想いを感じる小説もあまり無い。
このシリーズは間違いなく名作。それもかなりの。
1巻でもすでに主人公コウの異常さだけでなく意志の強さはハッキリと分かるし、周りにいるみ〜クルのメンバーの特殊性と、舞原姉妹の思惑等見所は多い。
そして紆余曲折を経、自分の全てを投げ打って悪魔の力を得る決意をするコウ。
こいつがマジになって放つセリフはいちいち心に突き刺さってくる。


うまく説明できないんだが、とにかくこのシリーズは電撃の中ではぜひ読んで欲しいと思うものだと思う。