半分の月がのぼる空2
半分の月がのぼる空〈2〉waiting for the half‐moon (電撃文庫)
- 作者: 橋本紡,山本ケイジ
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2004/02/01
- メディア: 文庫
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勢いに乗って2巻も読破。ファンタジー要素が無い分設定やら説明の文字で埋め尽くされてないから
2時間かからずに読める。
前巻で多田じいさんから譲り受けた大量のエロ本だったが、隠し持っていたことが冒頭いきなり里香にバレてしまう。そこから里香になんとか許してもらうため祐一の奮闘が始まるが…。
この巻はコメディ要素から入ってドタバタ劇をやったあと、解決させたとみせかけて本当の現実を突きつける巻。最後は祐一の悲しみの激情で幕を閉じ、次回への強い引きを残している。
途中の祐一の頑張りには好感がもてたけどその後の有頂天ぶりには夏目同様嫌悪感。ただ何よりも大切な存在になりつつある里香に許してもらえた嬉しさがそうさせるというのは分かるんだけれど。
銀河鉄道の夜は読んだことないが、里香の言動や文の流れから最後がどうなるかは読める。祐一は鈍感だろうと思うがそれも上記と同じ理由かもしれぬ。
夏目の叫びを聞いて打ちひしがれたあと、泣きながら銀河鉄道の夜の結末を読み、空を見上げて涙する姿にはこちらの胸も熱くなった…。
なんとなくフタコイオルタネイティブの「サはさよならのサ」辺りが思い浮かんだ。あのやりきれない切なさに似ているものを感じたのかもしれない。
思うところあった名文
僕の言いたいことは言葉と言葉の間に埋もれてしまうだろう。
だから僕は話さない。
伝わらないこと、伝えられないこと、そんなものは心に放り込んでおくんだ。やがて、それは心の奥底に消えてしまう。そして2度と戻ってこない。
考えを言葉で正確に伝えることは難しい。
どれだけ日本語の勉強をしてもなかなか満足に心を日本語で扱うことができない。それはよく実感するんだけど、ここでは最後の一文にハッとした。
あの時伝えられなかった想い、それは、今はもう思い出せない。
自分の過去のこと、身を切られる思いを感じた想いも、今きちんと反芻することはできない。その事実を思い知って涙が出そうになった。
というか思い切り泣きたくなった…。