僕らA.I.

僕らA.I. (富士見ミステリー文庫)

僕らA.I. (富士見ミステリー文庫)

俺にもこんなの書かせろ。
by星野亮


これは思わぬ拾い物。面白かった。
今作品は富士見書房が展開した「にゅうっとグランプリ」9作品のエントリーナンバー1番で、このエントリーは他には、あの砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」など。


すべての家族、そして儚き愛情を抱く人々に捧げるミステリアス・ラブストーリー!
となっているが、普通の家族の話から始まってまさかそういう路線の話だとは思わなかった。
途中から解体途中の廃工場内に舞台は移っていくのだけれど、なんというか、メインのSFストーリーから数年後の、すべてが終わってしまった場所で起こる、新しい後日談?とでも言うのか。エンディングの後にある話、ものすごい大冒険の末に結ばれた夫婦の、子供の話というか。
とにかく、内容自体はそうでもないのに、終始とてもさわやかな感じに包まれていていいなぁと。登場人物がほぼ4人だけでとてもコンパクトな世界で完結している点も良い。ずっと家族のつながりというテーマで一貫しているし、なんと結構ミステリーしている(笑)もうこの頃の富士見ミステリー文庫のミステリー要素はレーベル名だけだから(笑)
萌えをいくらでもいれられるのにあえて家族愛で書ききっている点もさわやかさに拍車をかけています。あとすごく読みやすい。良作。
評価8.