ロード・オブ・ウォー

原題:Lord of War
監督・脚本:アンドリュー・ニコル
撮影:アミール・M・モクリ
音楽:アントニオ・ピント
出演:ニコラス・ケイジイーサン・ホークブリジット・モイナハン
タイトルの和訳は「戦争の王」。R-15指定(主にグロと麻薬)
これは面白い!最初から最後までダメシーンなしでかなりオススメです。やはりニコラス・ケイジの演技は巧い。最後に自分をやっとニコラス。ケイジを逮捕することができて喜ぶICPOイーサン・ホークに対して、「君の正義感は素晴らしい、努力も。でも、世の中にはどうすることもできない悪があるんだ。」みたいなことを息子に対して悟らせるかのように語るシーンの二人の表情の変化は秀逸!
これは国連の常任理事国でもある5カ国が、同時に世界最大の武器輸出国でもあることへの皮肉をドキュメンタリーではなく、ユーモアたっぷりのアクションドラマとして描いている
という手法が素晴らしいと思う。見てて普通に楽しめるし、最後はなるほどと思わせてくれる。
イーサン・ホークは何度もニコラス・ケイジの前に現れるが、そのたびに法を抜け穴と屁理屈によって目の前にいるのに逮捕できないという屈辱を味わう。最後にはやっと逮捕できたと思ったら、ニコラス・ケイジは「今のうちに僕を罵倒したいだけ罵倒しておいたほうがいい。僕は君に逮捕されても良いとすら思っているが、世の中にはどうしようもない必要悪があるんだ。残念なことにね」というようなニュアンスの内容で悔しがるどころか哀れむような表情で優しく労をねぎらい、ニコラス・ケイジを必要とする国家の裏側により自分の意思とは関係なく釈放されていく。そして正義感溢れるイーサン・ホークはそれを見届けることしかできない…。
世の中には、明らかに間違っている、正さないといけないことが目の前にあるのに、自分の力ではどうすることもできないことがある。それは日常生活の些細な仕事や恋や友情にもあてはまるものだ。
これは、そういうことを考えさせられる映画。名作です。
評価8


ちなみに映画の予告は日本ホラーがいくつか(サイレンと輪廻だったかな)と、北斗の拳(声が阿部寛とか柴崎コウとかってどうなの…)、あとスピルバーグ監督のミュンヘン(事件調査とかアクションなのかこれ)