アクセル ワールド1 -黒雪姫の帰還-

アクセル・ワールド〈1〉黒雪姫の帰還 (電撃文庫)

アクセル・ワールド〈1〉黒雪姫の帰還 (電撃文庫)

《第15回電撃小説大賞 大賞》
電撃文庫のその年の新人の王たる大賞受賞作が、タイトルに堂々と1巻と付く未完作品とはガッカリだ。
大賞作くらい1冊でガツンと魅せて欲しい。


肝心の内容は、時間の流れを遅くする能力を持った人たちが、一般人の気付かないわずかな時間でバトルを繰り広げる…というベタなもの。
あまり驚く設定ではない上に、伏線を張りまくってほぼ全て投げっぱなし、なおかつ1巻の黒幕という重要なとこは伏線といえないくらい分かりやすく、構成も弱い。
さらにキャラの魅力も希薄。
主人公はデブで内向的で自虐的でイラつくし、ヒロインは一つ年上の14歳とは思えないおかしな喋り方でカップリングに違和感がありすぎる。あれは気品を表現できてないだろ…。
人の強さは見た目で決まらないんだ!というテーマは良いが、話の流れが強引過ぎて全く伝わっていない。


ただ、それでも文章自体はとても読みやすく、途中で投げ出すことなく最後まで読ませる力はある。
多分ここが評価されたと思うんだけど、戦闘シーンにおける主人公の一番の特徴である「ある能力」が明かされるシーンはゾクゾクするほど盛り上がる。
勢いとラブコメ要素だけで突っ走ってる感。
なぜか次巻も買いたくなるから不思議。
でも、銀賞がいいとこじゃないかな。