ロミオの災難

ロミオの災難 (電撃文庫)

ロミオの災難 (電撃文庫)

≪この想いは誰のもの…≫
これは、「すき」と言えない高校生の揺れる思いを描く、
ちょっと怖い物語。


確かにちょっと怖かった。
特に別荘に行く辺りでは、現場で事件がリプレイするんじゃないかと勘ぐってしまった。
誰か死んでもおかしくないような気がする気配が漂っていて引き込まれました。
でも話自体は、雛田が泣き出してから台本の作者が判明するまでの、宿った気持ちを持て余した連中に如月(主人公)が右往左往してるあたりが一番面白かったかな。
この作者はハイテンションな展開が得意と見た。


あくまでロミオとジュリエットの演劇を中心に展開し、ラストシーンはなかなかに素敵になっているのだけど、俺としてはもう一歩踏み込んだ結末が欲しかったなと。
終章にもう少しページ数があれば、西園寺や村上や新堂の気持ちの変化が知れただろうし、そもそも全体通して雛田は出番が多いわけではないんだよね。
よく動くキャラでかなり魅力的だったので、もっと読みたかったなと思う。


ちょっと怖い物語だけど、読み終わると少し寂しくなる話でした。