図書館戦争
- 作者: 有川浩
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2006/02
- メディア: 単行本
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実在している図書館の自由に関する宣言
第1 図書館は資料収集の自由を有する
第2 図書館は資料提供の自由を有する
第3 図書館は利用者の秘密を守る
第4 図書館はすべての検閲に反対する
図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る。
を元に、今の有害図書・ゲームの取り締まりが大幅に強化された日本で、合法取締り機関と戦う図書館の人々の生き様を描いた物語。
ただしこの場合の戦うというのは、ホントに文字通り「重火器などの武器で」戦うということなんだけど(笑)
まぁその辺はハードカバー本だけどライトノベルよりな設定です。
かなり軽快な文体・トークで読みやすい。
この直前に読んでたうえお久光のジャストボイルド・オ’クロック (電撃文庫)が従来のうえおと違ってトークだけが軽快で地の文が読みにくかったため、余計スラスラ読める感じを受けた。
それを引いてもやはり読みやすい本だと思う。
図書館が武装化して完全に軍隊化されているので、図書館と自衛隊を足した感じになっててやや設定の斬新さはやや鈍く、教育の在り方とか正義や正論の形、民衆が思考をメディアに頼って自分でよく考えてないところ、またはお互い正しくもあり正しくなくもあるというジレンマ、などなど現代的な問題をうまく取り込んでいて、むしろ結構堅実な内容。学校の読書感想文の課題に使うのにも十分以上に通用するんじゃないだろうか。
「正論は正しい、だが正論を武器にする奴は正しくない。お前が使ってるのはどっちだ?」
この言葉には作中で教官に言われた手塚と一緒に俺も考えさせられた。
正論を振りかざすやつは優しくない。正論を正しく使うとはどういうことか。
このあと自分なりに考え、成長した手塚の放った一言
「上官の立場でダブルスタンダードを使うんですか」
には唸った。お見事(http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%83%80%E3%83%96%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%89&dtype=0&dname=0na&stype=0&pagenum=1&index=11612470)
この場合のダブルスタンダードとは同じ部下に「未完でも時間通りで撤収しろ(時間を優先)」「時間を過ぎても完璧にやれ(完成度を優先)」のように矛盾した教えを言う事。
と真面目な部分の良さについてコメントしたけど、上で書いた通り軽快な文体とトークのため、かなり笑える小説でもあります。
肩肘張らずに読めるしかなり面白い。
オススメです。