ダークナイト

監督:クリストファー・ノーラン
脚本:ジョナサン・ノーランクリストファー・ノーラン
主演:クリスチャン・ベイルヒース・レジャーゲイリー・オールドマンアーロン・エッカート


ゴッサムシティでは今日も警察の手が出せない悪と戦うブルース(バットマン)と、こっそりそれを支援するゴードドン警部補が活躍していたが、ゴッサムに熱血新任検事のデントが赴任してきたことから、デントを巻き込みバットマン・警察・検事の連携で一気にゴッサムの巨悪を叩き出そうとする。
彼らの活躍によりゴッサムに平和の希望が訪れるかに見えたが、最凶の敵ジョーカーが現れたことから、再びゴッサムシティは混乱に落ちてゆく…。


バットマン ビギンズに続く新生バットマン2作目。
150分超という尺の長さはアクション映画としては異例。
当然中身はただのアクションではなく、むしろバトルよりも重厚なドラマに重きを置いた社会派サスペンスなのであった!


幾重にも張り巡らされたトラップ。
大切な人を守るためには、他の誰かを犠牲にしろ
バットマンにも、ゴードンにも、デントにも、市民にも、
ジョーカーから何度も突きつけられる命の選択に、徐々に擦り減っていく彼らの連携…そして…
彼らにとって致命的な犠牲者が出たことから、正義は狂気に落ちてゆく


なんといっても、狂気の根源、狂った笑いでゴッサムを狂わせ視聴者に倫理と正論の無力さを叩きつけるジョーカーの演技力に感嘆
これから永遠のライバルとしてバットマンを苦しめるはずだったジョーカーだが…
今年1月、まだ20代の若さでヒース・レジャーはこの世を去ってしまった
若き名優に冥福を祈る。


ノーラン兄弟による脚本はただ重く暗いだけではなく、
ブルースの会社のバットマン開発部の面々とのウィットに富んだジョークなど、クスりとするシーンも。
もちろんランボルギーニバットマンカーやバットポッドゴッサムを爆走するカーアクションや、肉体アクションも健在。


本国で記録的ヒットになったのもうなずける
全てが高い次元でまとまった名作であった。


心身ともにボロボロになりながらゴッサムを駆け回り
誰にも褒められることなく、全ての罪を背負って闇に消えるバットマン
彼の心中を思い、視聴者は報われない正義に感銘を覚えるだろう。