あだち充 みゆき 全12巻

H2のドラマ化、単行本の愛蔵版化で話題のあだち充
実はこの漫画家のは「タッチ」しか読んだことがない。
そもそも小さい頃は漫画を読むという習慣がなかったし、今思えば中学上がるまでの俺はとてつもなく世間知らずだったと思う。家の中や近所以外の空間や遊びに触れる機会がほとんどなかった。
それに、妹や隣のお姉さんを始め、保育園以前の幼少時代はいとこ以外の男がいなかったこともあるし、そこから小学校卒業までは男女ともほとんど数人の固定された付き合いだったからだろう。

この辺りのことが今の俺の人格の基礎になってるのは疑いようがない。
知識レベルなんて、折り紙やあやとりにはやたら詳しく(さすがにもう忘れたけど)スポーツのルールはほとんど知らず。恋愛やエロ単語って何?な小学生だったな。
その割に初恋だけはえらい早かったんだけど(笑)男女付き合いなんて知らなかったし、他の感情は何もなく、ただただ純粋な「好き」な気持ちがあっただけ。そういう記憶って貴重かも。

そんな世間知らずな俺だったけれど、祖母が保育園の給食のおばさんで、誰よりも早く保育園に行って鍵を開けて回ったりしてた。当然夜の就寝はとても早い(9時前かな)規則正し過ぎる生活をしていたのだが、土日も早起きだったから、朝や夕方のアニメはよく見ていた。

で、やっと本題。みゆきである。
あだち充の絵を見ると必ず頭をよぎる俺の幼少の記憶の残滓。
みゆきという名前。崖の上の別荘。そこへと至る崖の茶色い道・斜面。降りしきる雨。濃い雲による薄暗い世界。雨音。不安。切なさ。
浮かぶのはこれだけ。いつも同じ。

小さい頃に欠かさずとは言わずとも結構見ていたような気がする。
店でH2の愛蔵版を見るたびに頭を横切る幼少時代の何か、そして切なさが気になって仕方がなかったので、このたび全巻入手して読むことにした。

まず驚くのがその発行日。80年代前半。俺が生まれる前後の話。
アニメで見たのは再放送ではなくリアルタイムだったのかも…となると1歳か2歳で見てたことに。どうだろ…。

ところどころがすごく懐かしい。あぁそういえばこういう話だったなぁ。と。
でも結末は思い出せなかったのでとてもワクワクして読めた。
服装なんかは80年代らしさをとても感じるけど、キャラの魅力は時を経ても薄れることはない。
二人のみゆきはとても魅力的で、主人公も頭は悪いが心は最高。昨今の小説や各種ゲームの主人公にも見習って欲しい(笑)
最後はどうなるものかと思ったが、ちょっと泣けそうな展開で良かった。
正直少年誌のラブコメはラストがそっけないというか読者の想像にお任せ的な部分が強すぎて読み終わるとがっかりすることが多いのだけど、これはタッチほどは端折っていない。でもやっぱり最後の1話は物足りないけど。両方のみゆきのセリフ欲しいよ…続きが読みたいよ…。

でもなんか、俺の性格の骨格部分や、昔の思い出に触れた気がしてとても良かった。
懐かしいぞ80年代の俺!